「転職エージェント」介しての応募と直接応募、どちらが良いか
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質問サイト「人力検索はてな」の質疑応答に、「応募する企業が決まっている場合、主に年収の部分での交渉において、 転職エージェントを通して応募するのと、直接応募するのではどちらが有利でしょうか。」というのがあります。
この質問者の悩みは、「転職エージェントの使い方」とか、「転職エージェント利用方法」についての相談と共通しているように感じられました。
つまり、転職エージェントが、あまり転職希望者から見て、評価されていない、信用されていない、むしろ、不信感を持たれているという現状をよく反映しているようです。
【転職エージェントが信頼されない理由】
all about の「転職エージェントの上手な使い方」によれば、「エージェントという仕事自体がそもそも信用されにくい性格がある」と書いています。
つまり、エージェントの果たしている役割、価値が、外の人から見て分かりづらいことに原因があるのではないかと言うことです。
さて、「はてな」のベストアンサーに選ばれた人の回答では、
★直接のほうが有利です。手数料のこともありますし、エージェントは数をこなすほうが儲かるので転職者を説得してきます。
と言うものでした。
これは、質問者が選んだベストアンサーであり、質問者にとって、心情的に受け入れやすい回答だったと思われます。
(同感、共感してくれる思いの回答を待っている人が多いようですので。)
ベストアンサーは、人によって、置かれた立場や状況によって違うと思われるのです。
この方以外の回答の要点のみを、下記に挙げておきます。
【転職エージェントの方が有利という意見】
●スキル次第かと思いますが、高い年収を望めるレベルであればエージェントを使うほうがベターだと思われます。
エージェントも年収額に応じた報酬なので、高く売れる人材であればあるほどがんばってくれます。
●あなたのスキルが高ければエージェントを利用してもいいとおもいますが、
そうでなければ、ただ、報酬をとるだけの道具とされる場合もありますので、お気を付けください。
●転職エージェントのほうが有利です。
転職エージェントの報酬は、あなたがもらう予定の年収の?分ということが多いので、高く売れたほうが儲かるからです。
安く雇用したい企業は、転職エージェントを利用しません。
(弊社からの注記:少し前の転職エージェントの紹介報酬は、転職者の年収の約30%でした。
その後下がっているエージェントもあるようですが、それほど変化はないと思われます。)
●転職エージェントは人材派遣・紹介会社ですので、就職活動が面倒であれば便利ではあるでしょうね。
【直接応募の方が有利という意見】
●(ベストアンサーに選ばれた意見) 直接のほうが有利です。
手数料のこともありますし、エージェントは数をこなすほうが儲かるので転職者を説得してきます。
●あなたが天才ならばヘッドハンター経由もありだが、さもなくば直接応募。
この超氷河期に、エージェントに金を払ってまで採用したい人材など限られてます。
●直接応募すると 自分で選べますが、エージェント通すと、その会社の条件をのまないとだめですよ。
係りの人も仕事ですから、適当に選ぶと思います。
【中立的な意見】
●人材紹介会社を通すと選考過程の一部が省略されることもある。
企業がどんな人材を求めているかを把握し、それに合った人物を引き合わせる人材紹介会社は、企業からの信頼もあり、企業が求めている人材とはずれていないという前提があるからだ。
さて、これらの意見を少し整理して見ますと、
転職エージェントを通した方が良いとした人に共通しているのは、転職者のスキルが高い場合であり、また、(年収に比例した報酬なので)高く売れたほうが儲かるからとも添えています。
直接応募の方が有利という意見に共通しているのは、転職エージェントが儲けようとしている、自己の利益追求のみを優先していると言った先入観から出たと思われる不信感が強烈ですね。
質問サイトの質疑応答に、まともなものを求めること自体がおかしいかとも思いますが、もう少し、転職エージェントの果たす本来の役割はこうこうだから、これは有利だが、こういう場合は、不利とか客観的な意見が欲しいですよね。
この意味では、中立的な意見に分類した方は、人材紹介会社は、「企業がどんな人材を求めているかを把握し、それに合った人物を引き合わせる」という役割について言及しています。
選考過程の一部を転職エージェントが代行してくれる。企業側には選考の負担が減る。それ故に企業から信頼されていると書いています。
【転職エージェントの役割とうまい利用の仕方】
ここで、もう一度最初に書いた、all about の「転職エージェントの上手な使い方」(東京海洋大学特任教授、小松俊明氏の「転職のノウハウ・外資転職ガイド」)を参考にして見ます。
エージェントを活用して積極的に情報収集をし、セカンドオピニオンを聞こうとする姿勢のある人にとっては、有効であると書いています。
大半の人は能力や経験のレベルに関わらず、人の意見に耳を傾け、新たな気づきを得たいと思っていることが多く、エージェントにもそれなりの役割が生まれています。
このように考える人にとっては、メリットが生まれて来るようです。
●エージェントならではのサービスに、選考過程で他の対抗馬となる候補者の情報を仕入れることができる場合もあります。このようなサービスの恩恵を受ける可能性もある。
●エージェントとのコミュニケーションを増やし、アドバイスを求めてみたりして、エージェントとの信頼関係を積極的につくることで、うまく利用できるのではないか。
●自分の他社を通じた転職活動についても、相談してみたらどうか。エージェントとしては、他社を通じた転職活動の状況がわかることでサポートがさらに充実し、スピードアップできることもある。
●最終的に商売にはならなかったとしても、エージェントというものは転職希望者との信頼関係が築けたことに満足するもの。一番エージェントが嫌がるのは、商売にもならず、信頼関係も築けないこと。
エージェントの口添えが、当落ラインぎりぎりの人を救うこともあったそうです。
これらの情報を知ると、やはり、最初から、転職エージェントから積極的に情報を収集したり、セカンドオピニオンを聞こうとする姿勢がない人や、信用できないと思い込んでいる人が、転職エージェントをうまく利用することは出来ないことがよく分かります。
【転職エージェントの賢い使い方】
次に、当事者の、転職エージェントそのものである「JAC Recruitment」のサイトに出ていた、「転職エージェントの賢い使い方の紹介ページ」から参考となるものをピックアップしました。
これらは、営業上の最もなことばかりと思いますが、まあ、少しは信用して、拒絶ばかりしないで読んでみましょう。上のall about の小松俊明氏のアドバイスと一致している箇所もいくつかありました。
●活動状況をすべてコンサルタントと共有
自己応募している案件や、他の転職エージェントから応募している案件など、転職活動の状況を担当コンサルタントに共有するようにしましょう。これにより、コンサルタントがあなたの志望度に合わせて効率的な選考スケジュールを構築することが可能となります。
●一般的には見ることができない非公開求人をチェック
転職エージェントのコンサルタントに「一次面接官」の役割を委託して、比較的低コストでマッチング性の高い応募者を一本釣りしようとする企業も多いため、コンサルタントを介してしか得られない求人情報も相当数存在します。
●各種情報収集はコンサルタントにおまかせする
現職で働きながら情報を集める転職希望者は、情報収集は困難です。
コンサルタントは、転職希望者の要望や資質に応じた求人情報を精査してくれるため、個人の転職活動における負担は軽減されます。
また、社風やオフィス環境、配属先の部署の雰囲気は、個人の応募者ではほとんど収集することができません。転職コンサルタントは、各企業の人事担当者との直接のやりとりを通して、応募者個人では知ることのできない、けれども重要な情報を集めることが可能です。
●応募企業ごとにレジュメ作成のアドバイスを受ける
応募する企業によって応募書類の内容をアレンジするのは採用されるための基本といっても過言ではありません。
しかし10〜20社に応募する場合は、そのアレンジ作業が大きな負担となるのも事実。企業ごとの特徴や条件を的確に把握したコンサルタントから細かなアレンジについてのアドバイスを受けて、効率的・効果的なレジュメ作成に努めましょう。
●面接後の感想や入社意欲をコンサルタントに伝える
企業にフィードバックを早く伝えることで入社意欲のアピールにつながります。
●面倒なこと、聞きづらいことは、コンサルタントにおまかせする
面接の日時設定などのスケジュール管理、給与交渉や人事担当者への質問など、個人では面倒なこと、聞きづらいことの質問を、コンサルタントは代行してくれます。
転職活動を行うに従って現れる不安や疑問は、転職のプロにすべて解決してもらいましょう。
さて、もうひとつは、
リクルートエージェントのサイトで紹介している、キャリアアドバイザーからの提案です。エンジニアの例で言っていますが、職業経験全般にあてはまるのではないかと思います。
●(エンジニアの方は、)自分のスキルにどのような価値があるのか、どのような企業や業界に転用できるのか、自身では把握されていない場合が多いようです。
転職者のスキルのコアと汎用性を理解し、幅広いご提案を心掛けています。また、せっかく素晴らしいスキルを持ちながら、それをアピールするのが苦手な方が多いのも特徴です。
企業にしっかりと魅力が伝わるように、書類添削や模擬面接など具体的に役立つアドバイスをいたします。
●(販売・サービス職の方の例では、)本人が自覚していない「強み」を引き出します。
以上ですが、
このように、本人自身が気付いていない「価値や強み」を、他人であるキャリアアドバイザーから聞くことができるなど、転職エージェントが間に介在することのメリットは、かなりあるようです。
一方で、
こういった転職エージェント側からの考え方を見てきますと、やはり、応募の職種の経験、実績がある程度以上はある人や、その中でもスキルが高い人が対象、前提となっていると感じてしまいます。
特に、非公開求人などは、「比較的低コストでマッチング性の高い応募者を一本釣りしようとする企業も多い」などは、大きなカツオの一本釣りのようであり、それに当たると思います。
多くの方の、転職エージェントに対する、疑問や不安の中に、「少ない職務経験や比較的低いキャリアの人に対する対応」がどうなのかと言うことがあります。
これについては、弊社の別カテゴリーで詳しく調査・分析をしました。下記のページを、是非お読み下さい。
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